18世紀ドイツの哲学者カントは『教育学講義』の中で、「人間は教育によってのみ人間となることができる」という言葉を述べています。

現代社会においては、情報化の進展により、ICTやeラーニングをはじめとする遠隔授業も用いられ、教育の媒体や手段も豊富になりました。学習の場は学校ばかりではありませんが、皆さんがこれから学ぼうとする医学・医療は、科学や書籍だけでは体験できない人間の心理や社会環境に大きくつながっており、一人だけでは担いきれない多職種の専門家の連携によって成り立っている世界です。その世界に参加するために学校で学ぶことは、われわれの社会や生活と強く結びついています。この衛生学園という教育の場で、教員やクラスメイトと切磋琢磨し学習の成果を上げ、私たちの社会、生活の改善を目指していただきたいと願っています。

本学園は1953年に創立され、卒業生約2万人を社会に送り出してきました。さらに真に社会貢献のできる医療人を育てるため、質の高い教育を目指しています。新入生においては、人を助けたい、健康の手伝いをしたい等の高い志と、将来の姿を具体的に描き、自己の目標をはっきりさせて勉学に励んでください。視野を広げることにより、前向きに将来に立ち向かうことができます。

また、本学園は2020年から「こひつじ会グループ」と事業提携を行いました。同グループは首都圏（73事業所）で、医療法人と社会福祉法人を中心に医療・介護・福祉・健康にわたる事業を展開しています。在学中の実習ばかりでなく、卒業後の臨床、実践につながっていくことを期待しております。

21世紀になり社会の変動が激しくなり解決困難な課題も立ちはだかっています。学校で習得した知識や技術は、その後陳腐化するかもしれません。その時はまた学校に戻り、学習を続けてください。住みやすい社会の実現のために、生涯にわたってチャレンジを続けていきましょう。

長沼 信治（Shinji Naganuma）略歴

 

医師／透析専門医／産業医／社会福祉士／認定心理士
千葉大学医学部卒業／慶應義塾大学経済学部卒業
医療法人社団小羊会理事長／社会福祉法人小羊会理事長